Block injection

ブロック注射とは

注射とは、身体に針を刺し、薬剤を注入する行為ですが、その方法や刺す部位は様々です。一般によく目にする腕に行う静脈注射以外にも、血圧を直接計ったり血液中の酸素量を計る目的の動脈注射や、高カロリーや早く大量な注射を目的とした中心静脈注射や緊急時には直接心臓への注射や骨に直接注射したりもします。

そんな注射の中にブロック注射というものがあります。血管の中に入れる注射とは異なり、神経や神経周囲に注射する神経ブロック注射、軟部組織や筋肉などの痛みのある部分に行う局所注射やトリガーポイント注射、膝や脊椎の椎間関節などの関節内に注射する関節内注射などがあります。

ブロック注射の種類

01関節内注射

関節とは、骨と骨のつなぎ目の部分で、レントゲンでは、骨しか見えませんが、それ以外に軟骨や滑膜と関節の袋である関節包に覆われています。この関節包の中、関節腔へ注射するのが、関節内注射です。適応・メリットは、関節炎や変形性関節症などで、関節包内に痛みの原因がある時に効果があります。逆に関節包外の筋肉や神経の場合はほとんど効果がありません。変形性関節症の方でも痛みの原因が、関節包の付着部炎や鵞足部炎、膝窩筋腱やその他筋肉が痛い方もおられますので、関節内注射で痛みが取れるかを見る診断的な役割もします。

腰や仙腸関節など関節腔の極端にない関節の場合は痛みの誘発テストになることもあります。麻酔薬の代わりに造影剤を入れる関節造影検査も手技は同様です。デメリットは、痛みの原因が関節外の場合、効果がない事と感染です。自身では感染の経験はありませんが、勤務医時代はまれに紹介されて入院や手術を経験していますので、注意すべき副作用です。

02神経ブロック

神経ブロックとは、神経そのものや神経周囲へ注射を行う事です。腰椎椎間板ヘルニアの神経根ブロックや、首の交感神経ブロックである星状神経節ブロック、頚椎や腰椎の硬膜外ブロック、手根管症候群に対する正中神経ブロックなどがあります。神経ブロックの注射により痛みを抑えたり、血流のめぐりを良くして、神経などのダメージを受けているところの治癒力を高めることが出来ると言われています。

使用する薬剤は局所麻酔薬ですので、麻酔としての効果は5~20分程度です。それ以上持続する効果はブロック自体の効果と考えられます。デメリットとしては、神経そのものへの損傷や血腫などによる神経圧迫などです。

03トリガーポイント注射

圧痛点、つまりは押して痛い部分への注射です。圧痛点とは、神経の周囲や筋肉などの軟部組織の炎症を起こしている場所であったり、筋肉の緊張性が高い部位で「ツボ」の様な場所です。たいていの四肢に痛みのある方はこの圧痛点が存在し、この圧痛点が痛みの症状の原因となっている場合に有効な注射方法です。神経ブロックと同様に痛みの悪循環を起こしている場合など効果的です。筋筋膜の炎症や、線維筋痛症の方にも効果的です。

04その他の注射

椎間板に対する造影と共に、ブロックする注射や腱鞘炎に対する腱鞘内注射などもあります。当院では、27G~24G程度の細い針を使用し、出来るだけ痛みの少ない注射を心がけており、積極的な除痛に力を入れています。内服やリハビリテーションだけで痛みが取れずお困りの方はご相談下さい。

部位別の注射方法について

腰のブロック注射は、大きく下記3つに分けて考えると考えやすいです。

炎症箇所への注射

まず1つ目は、痛い部分または炎症が起きているであろう部分へ行う注射で、「局注」、「トリガーポイント注射」や「傍脊柱筋ブロック」などです。筋肉や筋膜その部分の炎症を抑える目的があり、押して痛い部分や動かして痛い部分がはっきり判る時に、効果的です。

選択的ブロック注射

選択的ブロック注射とは、炎症や痛みの原因となっているであろう部分に注射を行う方法で、「椎間関節ブロック」、「椎間板ブロック(造影)」、「仙腸関節ブロック」「坐骨神経ブロック」「神経根ブロック」などがあります。関節部分や神経部分など限局した部分のみを選択的にブロックする方法です。メリットには、ブロック後、痛みや症状が消失した場合は、その部分が症状の原因となっていると判ることが出来る、つまり診断的価値があることです。逆に、症状の原因となっていない場合は、痛い注射をした割に痛みは軽減しません。

非選択的ブロック注射

非選択的ブロック注射には、「硬膜外ブロック」、「仙骨裂孔ブロック」などがあり、脊柱管内のスペースに薬を入れ全体的に広げ作用させる注射です。メリットは広範囲をカバーしますので、痛みの原因が椎間板部分であれ神経根部分であれ効果はありますが、ブロックが効いたとしてもその原因部分の特定は出来ません。

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